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#65 二点の魔頂たち



「あっ、見てくださいガンマさん。牙戦陸尉(がせんりくい)アトマックさんがやられちゃったようですよ! わー、ヌヌセちゃんもなかなかやりますねえ。さっすが総大司教ですね!」

 領主特務塔の近くに高い水晶ドームが中身ぎっしりで完成したのを見て、そのすこし離れたところで、ガンマと戦闘中の第十魔頂点の大魔王「鬩頂冂現(ゲキチョウキョウゲン)リヴィヴェエリス」が歓声を上げた。

 戦いを終えたヌヌセちゃんは封印札を掲げ、しばらく念入りにアトマック達の封印作業を行っているらしいことが、離れたガンマからもわかったので、
「…そのようやな…」
 と、リヴィヴェエリスに返事をした。

「ああ。かの有名な魔王アトマックさんも封印されてしまうなんて…。これはさすがの私も油断できないですね。わたし、気を引き締めて精一杯がんばって、これからガンマさんを倒して、引き続きこの世界を魔王たちが支配する世界にしていこうと思いますので、ガンマさん、これからもどうか、よろしくおねがいしますね!」

「そんなんよろしくされへんわ!」

「はいっ! ということでね、今日は引き続き『手始めにまずあの御雷(ミカヅチ)のガンマさんに圧勝してみた』のミニコーナーを引き続きお送りしまぁあああす!」

 ミニコーナーと言っても、もう結構前から戦っているロングコーナーになっているのだが。

「圧勝されへん、ゆうとんねん!!」
 ガンマも突っ込んだ。

「よぉーし、がんばれわたし! えいえいおー……ぉ? …おおおおお!? ほぎゃあああああ!」

 ドゴォォォオオオオン!

 そこに、アルシャーナに吹っ飛ばされた大魔王・第四魔頂点の火頂燈監(カチョウヒカン)ムワピゥュィの身体が突っ込んできて、鬩頂冂現(ゲキチョウキョウゲン)リヴィヴェエリスに衝突し、爆発した。
「ギャアアアアアア!」

 鬩頂冂現リヴィヴェエリスの悲鳴が響く中、くるくる、と宙を舞い、しゅたっと、アルシャーナが地に立った。

「Ξ拳爆(クーケンバク)……了爆!」

「アーナ!」
「いやー、地面に叩きつけるより、そいつにぶつけちゃったほうが効率いいなあって思ってさ!」
 と、アルシャーナがガンマにウインクした。

「ナイスやん? …ほなわいも!」
 ガンマは魔力(フォース)のこもった自作の扇「御雷双扇(ミカヅチソウセン)・大紫(オオムラサキ)/紋黄(モンキ)」の大小ふたつを構えて、扇法を繰り出した。

「鳥Γ扇(チョウグーセン)!!」

 ガンマが魔法仕込みの扇たちを両手に構えて振ると、空から雷を纏った輝く紫色と黄金色の雷鳥の姿のエネルギー体たちが無数に現れ、それらは稲妻の大滝となって二点の魔頂たちに降り注いだ。

 ズヴォァアアアアッ!!!!

 二人、絡まった形でライチョウの稲妻の大滝の滝行に打たれた魔頂たちは、それでもまだまだ倒されるには至らなかった。

「もう…ムワさん…、どいて…くださいっ!」
「わ…っ、わざとじゃないからな! 十番っ!」

 ムワピゥュィはリヴィヴェエリスの股間に顔面を押し付けたような体勢になっていたので慌てて離れた。

「んもう、この戦いの様子は、実況動画生配信で魔頂選定委員会に見られているんですよ? わたしは新人魔頂なので今後の立場もかかってるんです。あんまり邪魔しないでくださいね、ムワさん!」

 着衣の乱れを直しながらリヴィヴェエリスがたしなめた。

 その総数は変動するが現在は「水金地火木土天海冥鬩穀鳥妊」十三点の「魔頂点」あるいは「魔頂」と呼ばれる襲名制の大魔王集団のメンバーは、「魔頂選定委員会」と呼ばれる古参の魔王たちの審査により選定され、様々な魔王たる活動にいそしんでいる。
 この魔頂選定委員会は魔頂OB・OGの名誉魔頂達により構成されており、リヴィヴェエリスは最近この委員会から選ばれたばかりの新人魔頂なのであった。

「す、すまん…。だが十番、貴様の評価は名誉魔頂たちから高いと聞いている。このまま普通にやれば勝てるはずだし、邪雷王様も復活できるはず」

「んもう、さっきからわたしもムワさんも、優勢じゃないんですってば。ちゃんとそこんとこ把握してますか? ムワさん」

「そ…そうか?」

「それから、わたしのことは十番じゃなくて名前で呼んでくださいね! 長いならエリスでいいですから!」
 ぷーっと膨れながらリヴィヴェエリスは、妙な形状の槍を構えてガンマの方向を向いた。

「なら…オレと組んで戦ってみるか? エリス」
 さきほど何やら押し付けていたことで少し赤面しながら、ムワピゥュィはタッグチーム結成を提案してみた。

「うーん、わたしはムワさんと組むこと自体は嫌じゃないんですけど、あの敵は全く異なったタイプでなおかつ連携が取れていそうなので、組ませたら敵の長所が増えます。おそらく組み合わせたら余計に難しくなるコンビなので、わたしたちは別々にやったほうがよさそうですね」

「そうか…」
 リヴィヴェエリスは戦況をよく把握している。ムワピゥュィはこの新人魔頂に頼もしさを感じていた。
「組まないと逆にやばい状況になったら、お互い声をかけましょう、ムワさん」
「わかった、エリス」

 などと二点の魔頂点が話していると、
「あんたら雑談してる場合じゃないんだけどおおおっ?」
 と言いながらアルシャーナが向かってきた。

「閃Ξ掻(せんくうそう)!」

 アルシャーナは鉄爪セメトルクローを構えて突進した。
 セメトルクローは、幸来棍(コウライコン)、ロンドロンドトンファーとともにソレイン宮のトティ神殿長からアルシャーナに譲られた武器である。

 妙な形状の槍を構えて対抗するリヴィヴェエリスは、

「ではこの十番の自慢の、十特マルチスピア『デュスノミアー』の力をお見せしますねっ!」

 と言うと、槍の先に収納された十の武器のひとつを取り出した。
 すると、デュスノミアーと呼ばれた十特マルチスピアの先に、栓抜きが出てきた。

「デュスノミアー・レーテーボトルオープナー! とええええい!」
 その槍は『槍の先が十特ナイフの様になっている武器』と言えばわかりやすいだろう。

 リヴィヴェエリスは、向かってくるアルシャーナの鉄爪・セメトルクローの爪先を、レーテーボトルオープナーと呼ばれた槍の先端の栓抜きにひっかけると、ぶん! と真っ直ぐに振り下ろした。

「う、うわぁっ!」
 アルシャーナは爪ごと遠くに吹っ飛ばされていった。

「じゃあ彼女はムワさんにお渡ししまぁす!」
「ではエリス、ここでいったんお別れだ。戦いが終わってお互い無事なら、終わったら一緒に飲むか」

「お互い無事は難しいかもですね。…わたし未成年なので、ランチくらいならいいですよ、ムワさん」

「よかろう!」
 と、新人魔頂にランチの約束を取り付けて、ムワピゥュィは、吹っ飛ばされたアルシャーナのところへ戦いに走っていった。

「さぁて、無事にムワさんとランチできますかねえ…。デュスノミアー・ロゴスカンオープナー!!」
 リヴィヴェエリスは、十特マルチスピア『デュスノミアー』の先端を缶切りのような形状に切り替え、ガンマに斬りかかった。
 缶切りの先の刃がぶんぶんとガンマに向かうが、ガンマはそれをひょいひょいと避けてゆく。

「わいに勝つ難しさはもう、十分把握してそうやな?」

「まあそこのところは精一杯がんばりますので、引き続きよろしくお願いしますね、ガンマさん! デュスノミアー・ポノスコルクスクリュー!!」

 十特マルチスピア『デュスノミアー』の先端が、今度はコルク抜きのような形状に切り替わった。螺旋のようなドリル状になっている。

「よろしくせえへん言うとんねん! …聖杖・大電迅!」

 ガンマは杖を呼び出し、杖を空中に浮かせて、繰り出されるドリルの刃をバシバシと弾いた。

「なかなか遠慮がちなんですね! では、デュスノミアー・プセウドスドライバー!!」

 続いて十特スピアの先端がマイナスドライバーのような形状に切り替わり、杖の各パーツの付け根を狙うように突き出されてゆく。

「ひょっとして、杖を分解しよーとしとる? させへんで! 呪文(スペル)・烈雷(ライジム)!」

 杖から攻撃魔法が繰り出されたので、リヴィヴェエリスは、ばっ、とうしろ飛びで距離を取りながら、槍先を斧に切り替え、
「んもう! デュスノミアー・アーテーアックス!!」
 と、十字に斧を振り回すと、ガンマの二文字攻撃魔法は散っていった。

「今度はこれです! デュスノミアー・ホルコスソー!!」
 次に穂先はノコギリに切り替わった。

「呪文・防幕(マーバリア)!!」

 ノコギリの刃が防御魔法に阻まれて止まった。

 そこでヴィヴェエリスはノコギリをギコギコと引いて、そのバリアを切ってしまおうとした。

「のおおおりゃああああっ!」
 ぎこぎこぎこぎこ!

 半分くらいバリアが切れたところで、
「あとはハサミで切りますか! デュスノミアー・マケーシザース!!」
 と、十特スピアの先端をハサミに切り替えた。

 だが、そんなことをしている間に
「呪文・防幕(マーバリア)!! 呪文・防幕(マーバリア)!! 呪文・防幕(マーバリア)!!」
 と三重になったバリアがさらに張られてしまった。

「もう! やらせてくださいよ!」
「そんなんやらせるかい!」

「そんなバリア、まとめて砕きます! デュスノミアー・ネイコスペンチ!!」

 次は先端がペンチに切り替わり、ガンマのバリアを噛み砕こうと襲い掛かった。だが。

「サキヤーマカユタバーチ・サキヤーマカユタバーチ…
 急(せ)けよ急け霹靂(へきれき)、襲いゆけ霹靂!
 超呪文(ネオスペル)…霹靂急襲(ソクジェーセルナ)!」

 ガンマはそこで、急な稲妻を司る、霹(へき)系の四文字魔法を繰り出した。

 リヴィヴェエリスは足元より出現した稲妻の海に呑まれて電撃を全身に受けた。

「う…うおあああああ! デュスノミアー・アンドロクタシアーブレード!!」

 リヴィヴェエリスは四文字魔法の攻撃を受けて苦しみながらも槍先を刃に変えて振り回したが、その刃先はガンマに届かない。

「うううう! デュスノミアー・ヒュスミーネーギムリット!!」

 刃先が届かないことを把握したリヴィヴェエリスは、今度は槍先をキリに変え、鋭い先端となった槍をガンマめがけてぶん投げた。

「デュスノミアー最大奥義…ヒュスミーネーエリスピアー!」
 槍先から黒いオーラを煌めかせ、デュスノミアー・ヒュスミーネーギムリットが猛烈な勢いでガンマに向かってゆく。

「そうは…いかんのじゃあ!」
 ガンマが叫んだ。

 ぶいん!
 と、デュスノミアー最大奥義は、三重に貼られた防幕(マーバリア)によって弾かれた。

 ぱりぃぃぃん!
 響く音とともにバリアは破れ、一重になってしまった。

 からんからん、と十特マルチスピア・デュスノミアーが転がった。

 栓抜き、缶切り、コルク抜き、ドライバー、オノ、ノコギリ、ハサミ、ペンチ、ブレード、キリ。
 十特スピアはこうして、十の役割をすべて終えた。

「おお、バリアを三重にしといてよかったわ…」

 あわててリヴィヴェエリスが
「行けっ…サブウェポン…、プセウドス・スガキヤラーメンフォークファンネル!」
 と叫ぶと、背中からスガキヤのラーメンフォークが一本飛び出していったが、残り一重になったバリアに弾かれてしまった。これ多分武器ではない。

「惜しかったなあ…!」
 と、そのままガンマは次なる魔法の準備にかかった。

「あ…あ…む、ムワさん! や、やばいです、やば、来てくださいムワさん!」

 最大の奥義やサブウエポンも破られてしまったリヴィヴェエリスは、先程の打ち合わせ通りに助けを呼んだ。

 だが、ムワさんことムワピゥュィはアルシャーナと戦っていたので間に合わなかった。

「タケティーンタケティーン霆々(ていてい)たる巨なる柱、
 ブヤシミ・トゥイ・タケティーン霆々(ていてい)たる巨なる柱の災い、
 降りかかる許しを得てここに控えし霆々(ていてい)たる柱!
 究極呪文(アールスペル)…、降災巨霆柱(アウォキジヤツスール)!!!!」

 ガンマによって霆(てい)系五文字魔法「降災巨霆柱(アウォキジヤツスール)」が放たれると、空から巨大な稲妻の柱が勢いよくリヴィヴェエリスに振り落ちた。

 その柱は、柱と言ってももはや、隣にそびえる領主特務塔と同じくらい太い。

「これで…決まりや!」

 ドォォォオオオオオォォ…ン…

 ガンマの魔法が終わると、もうリヴィヴェエリスは立ち上がれなかった。

「…これで…きょうの…配信を…終わります…いかがでしたで…しょうか…チャンネル登録…おねがい…しま…」

 がくっ…
 と、リヴィヴェエリスは力尽きた。

 その戦いの様子を配信している先があるのだ。さきほどの魔頂たちの会話でもわかる。

「みたか、魔頂選定委員会とやら! わいの勝ちじゃ! ざまあ見さらせ!」
 ガンマは空に向けて杖先を向けて叫ぶのだった。

「…エリスが…敗れた…だと?」

 アルシャーナの蹴りをかわしながらも、第四魔頂点・火頂燈監ムワピゥュィの視界にはガンマがさっそく第十魔頂点・鬩頂冂現リヴィヴェエリスの封印作業に取りかかっているのが見えた。

「あのエリスって子と一緒にランチ出来なくなっちゃって残念だな、ムワさんとやら!」

 ぎゅんぎゅんと足技を繰り出しながらアルシャーナがからかった。

「確かに残念だ。だが見ていろ、あのリヴィヴェエリスはじきに良い魔王になる。死んだのでないなら良い。あれはまだ若いし、見込みがある」

 火頂燈監ムワピゥュィはマントをひらめかせながら、アルシャーナの蹴撃をひゅんひゅんとかわしてゆく。

「だがな、オレは甘くないぞ。そう簡単には負けん。いでよフォボス!」

 ムワピゥュィはそう言うと、二本のトーチを出した。

「た…たいまつ?」
 アルシャーナは意外な道具の登場にすこし驚いた。

「オレは、邪雷王の野郎の義理を果たすためにもこんなところで負けるわけにはいかんのだ。ぬぅんん!」

 フォボスと呼ばれた二本のトーチは炎をぶわっと吹き上げた。

「貴様のような雑魚が、多くの『魔頂』達の中でも最も高熱の技を使うこのオレを倒せると思うなよ?
 フォボス・フランメレーゲン…!」

 ムワピゥュィが二本の燃えるトーチを天高く掲げると、そこから噴き出した炎は天に向かい、空に巨大な炎の球を作っていった。
 炎の球はどんどん大きくなると、そこからアルシャーナに向け、雨のように炎の球がどんどん振ってきた。

「雑魚は焼き魚だ!」
 ムワピゥュィが叫ぶ。
 炎球が次々と向かい来る中、アルシャーナは素早く、腰ひもに挟んでいた幸来棍(コウライコン)という名称の双節棍のヌンチャクを取り出すと、
「だだだだだだっ!」
 と、周囲の空域を次々と裏返していった。

 ぎゅん、ぎゅん、と、どんどん炎球たちはきびすを返してムワピゥュィの元に跳ね返されてゆく。

「おぉ? …そうか…」

 ムワピゥュィは少し驚いたがそのままトーチを正面に掲げると、炎たちはどんどんトーチに戻っていった。
「では…こいつはどうだ…! フォボス・トーチジャグリング!」

 ぶぉん! とムワピゥュィが二本のトーチを投げると、トーチは周囲の炎をすべて吸い込んでそのままお手玉のようにムワピゥュィにジャグリングされた。
 ぎゅんぎゅんとジャグリングはどんどんとその勢いを増し、
「ゆけえええええぇ!」
 という、掛け声とともにアルシャーナの方向に飛んで行った。

 アルシャーナは幸来棍を、ぎゅいいいいいぃん、と回転させた。
「雙節棍(そうせつこん)・空魔絶禦壁(くうまぜつぎょへき)!」

 ぎゅおぉぅんッッ!
 バシイイッ!

 幸来棍の超回転は巨大な盾となってフォボス・トーチジャグリングを弾いた。
「了棍!」

 二本のトーチは弾かれて砕かれ、散り散りとなった細かい炎とともにバラバラと落ちた。

「な…なんだとぉ…! ざ…雑魚がぁあああ!」

「だから雑魚じゃないんだって。エリスって子のほうはもうちょっと戦況を把握してたでしょ。優勢じゃないとか、無事でいるのは難しいとか」

「ぬ…。ぬぅうん! フォボスが効かぬならば…デイモスを出すしかあるまい…。いでよデイモス!」

 ぶぁん!
 と、出現したのは回転砲塔のような武器である。

「デイモス、フルパワーだ!」

 ぎゅおおおおおおぉぉん…と、デイモスと呼ばれた武器は魔力を高めて赤く輝く。

「デイモス・トーチ・ガトリング!」
 ドドドドドドドド!

 なんと、砲塔が回転しながらどんどんと、燃えるトーチを撃ち出していった。

「こいつは食らったら大変だなあ…っと!」

 アルシャーナが背後で潰れているSディルレムの残骸の装甲の端を掴んで、ぶおっ! と前方に投げると、 ばばばばばばばっ! とSディルレムの残骸がトーチのガトリングを一斉に受けた。

「なっ…なんだとおおおっ!」
 ムワピゥュィは驚く。

「うっおおおおおおおっ!」
 アルシャーナの全身が発光し、全身から波法が発射された。
「全身閃!」

 トーチたちは散逸し、ムワピゥュィも激しい波法を受けて吹っ飛ばされた。

 その吹っ飛ばされるムワピゥュィを追って、アルシャーナは大地を蹴る。
 だっ! だだだだだだ!
 そしてアルシャーナは走りながらロンドロンドトンファーを構えた。

「閃空大旋棍(せんくうだいせんこん)!!!!!!」
 ヴォグワァアアアアッ!

 トンファーのインパクトを受けてムワピゥュィの身体が舞い上がった。

 アルシャーナはさらにそれを追い、ジャンプした。

「閃Ξ蹴舞連撃祭(せんくうしゅうぶれんげきさい)ッ!」
 ばばばばばばばばばばっ!

 右足の片足でどんどんムワピゥュィの身体を蹴り上げてゆく。
「でぇぇぇいっ!」
 ズドン!

 反対の左足で思い切りムワピゥュィの身体を地面に蹴り落とすと、勢いのあまりにムワピゥュィの身体は跳ね返った。
 そこをもう一度蹴る!

「おおおぅりゃああああっ!」
 ズドン!

 再びムワピゥュィの身体が地面に叩きつけられると、再び跳ね返る前に今度はアルシャーナが右足を構え、地面に突き刺すように貫いた。

「了祭だぁあああああっ!」

 ズグォォォオオオオオオォォン!!!!!!

 くるくる、しゅた、とアルシャーナが着地すると同時に、ムワピゥュィは大爆発を起こした。

「あたしの…勝ちだ…!」
 ドォオオオオオオォォォ・・・・ン・・・

「アルシャーナ様!」「アーナ!」
 ヌヌセちゃんとガンマが駆け寄ってきた。

「じゃあわらひが封印しますね!」
 さっそくヌヌセちゃんはムワピゥュィの封印に取り掛かった。

「ふう…これでこの場所の敵はようやっと片付いたなあ」
「さすがに手ごわくて結構時間かかっちゃったのれす」

「先に行ったレルが心配だ、封印が終わったら早く行こう」

 アルシャーナとガンマの視線の先には、領主特務塔がそびえている。

 そこが、この戦いの最終決戦の地であった。

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LEGEND OF THE WINDMASTER ―――FIGHTER―――
-epic of Waljark- VOL.8
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