BACK 18 NEXT


#6 なりませぬでございますっ


ウイングラード王国領ルンドラ島領主・ディルガインは、「黒獅将」…魔獣と化した…!

―――――――ゴウン!!!!――――――

王宮中に響き渡ったその音は、当然レルリラ姫の部屋の、ケンヤたちにも届いていた。

「王の間のほうだ!」
アルシャーナが叫んだ。
「テロやな…」
とガンマ。
「まさか…ここにも邪雷王シーザーハルトの配下の魔王が…!?そうだわ…違いないわ!」
レルリラ姫が焦った。
(――本当は邪雷王ではなく、ワルジャークの配下なのだが――)

「行くぜみんな!」
ケンヤが駆け出して、ドアを開けた瞬間!

がちゃっ!
どかっ!
ガシャーン!
ずばしゃあ!!
「あちいっ!!」
「はうああっ!!」

…執事のジージが、お茶を持ってきたところなのであった…

★ ★ ★

そんなわけで…。
熱いお茶かぶって火傷したケンヤとジージの「火傷コンビ」が、そのお茶より熱く、論戦中。
「なりませぬでございますっ!!」
「なんで!!」
「謁見許可がない限り、国王陛下への謁見はなりませぬ!」
「謁見じゃない!助けに行くんだよっ!なんでダメなんだよ、じいさん!」
「そのとき国王陛下にお会いになるでしょう?それを謁見というのでございます!」
「悪い魔王にやられちゃったら謁見もできないじゃん!!」
「お客様も一緒にやられちゃっても困るのでございます!」
「やられちゃわないでござるんだよ!やっちゃうよ!オレたち『蒼いそよ風』なんだぜ!」
「そよ風じゃないですか!無理」
「なんだとぉ―――――!!」
「では、あなたがたはウイングラードの聖騎士より強いと?」
「!」

「いま、王の間には、一騎当千、下界最強の、わが国の誇る王宮聖騎士が三人もいます。右のユクシに左のカクシ、竜騎レックス。
耳になさったこともありましょう。
……で、あなたがたは彼らより強いと?」

「わかんないよ…。聖騎団員がどのくらい強いか、見たことないもん…。見たいし…」
ケンヤ、トーンダウン。
そこに、少女が声をはさんだ。

「強いよ」

アルシャーナだった。

「…!」
「強いよあたしたちは。
だってあたしたちは、もう、二度と負けないんだ」
アルシャーナは、自らに言い聞かせるように、強い眼差しで、堅く握った拳を見つめた。
「……」
執事ジージは、一呼吸してから、言った。

「それほどお強いのなら…。
もし聖騎団が倒れたときは、お願いいたします。
そして…このような事態でございます。
国王陛下のみならず、姫も狙われるやもしれません。
そこで…みなさまには、ここで、レルリラ姫の護衛を、よろしくお願い申し上げます」

…うまいこと言うが、これも認めてもらったことになった…。
それ以上の論戦は、できなかった。

ケンヤたちは、それに従うことにした。そしてジージは、王の間に駆けていった。
しかし…。
もしもこのときジージがケンヤ達を行かせていれば…。
BACK 18 NEXT

LEGEND OF THE WINDMASTER ―――FIGHTER―――
-epic of Waljark- VOL.1
↑↓
epic of Waljark : MENU
LEGEND OF THE WINDMASTER ―――FIGHTER―――

風帝伝説FIGHTER WEB
LEGEND OF THE WINDMASTER ―――FIGHTER―――

SUZUNOYA-ZX