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#4 レルリラ姫


「みなさん、こんにちは♪
ようこそわたくしのお部屋へ♪
はじめまして。

わたくし、レルリラ=ウイングラード=ワースレモンと申しますの。
このウイングラードの姫なんです。

この子? この子は、『ぴちくりぴー』っていいますのよ。
わたくしの友達の小鳥さんなの。

あなたたちは? そう。
ケンヤさん、ガンマさん、アルシャーナさんといいますのね。
いいお名前♪

まあ、そこにすわってください。長旅でおつかれでしょうから…。
もうすぐジージが、お茶をお持ちしますわ。

あなたたちのお父上やお母上のいた『蒼い風』のウワサはきいておりますのよ。
尊い犠牲の代償に、恐ろしい邪雷王シーザーハルトは、倒されたのですね。
あなたたちが、その『蒼い風』を継ぐんですのよね。
えらいわー。

なんでも、あなかがたは魔王を倒すために旅していると聞いたわ。
三大魔王の残る一魔王…。
千龍魔王ワイゾーンは、いま、この下界で最大の脅威です。
あなたたちはそれに立ち向かうなんて…。
えらいわ、えらいわ。

でも…、はっきり申し上げさせて下さいね。
今は無謀、だと、わたくしは思うの。
はっきりいって、無駄死にだわ。

みなさんはまだ子供じゃないの。
もっともっと力をつけてからでも、遅くはないと思うの。

死に急がなくても、いま、わが国には、世界最強の『ウイングラード聖騎団』がいます。ご存知ですよね?
特に今期聖騎団『アッカ隊』の今の七人は、過去最強の呼び声もあるくらいなのですよ。

ロンドロンドの誇りアッカ隊長。右のユクシに左のカクシ。オーサとマッツの姉弟騎、竜騎レックスに、ウイングラードの巨人キャロット。

有名でしょ? わたくしは、彼らなら、龍魔王ワイゾーンも、倒せると思うわ。

え?
『そんな話より、騎皇帝ドルリラにあわせてくれないかな』
ですって?

だめですの。
今、お父様はいそがしいの。
だからこうしてわたくしが、あなたがたのお相手をいたしてるんですのよ。
今、聖騎団だってバラバラなんですから。

ゆうべのことだからまだ新聞にはのってないと思うけど、大変ですの。
邪雷王シーザーハルトとともに死んだと思われていた魔王のしもべたちが、急にウイングラードの街に現れて、暴れ出したの。

ペパーミンガムでは、今はなき砕帝王将ワルジャークの配下、ヒュぺリオン。
エンジバラでは、今はなき邪雷王シーザーハルトの配下、レウ。

そこでとりあえず、ペパーミンガムにはアッカとキャロット。エンジバラにはオーサとマッツが向かったの。
魔王ってほどの力を持った奴らではないし、彼らほどの聖騎士なら大丈夫よ。

で、色々あってお父様も忙しいところに重なって、今日はルンドラから、ディルガイン公が謁見に見える日だったのよ。

それで忙しいの。わかった?」

「………」

「ぺらぺらよくしゃべるねえ…」
呆れ顔のアルシャーナであった。

「やばいな…」
険しい顔のガンマであった。

「みんな、ワルジャークが生きているってこと、知らなかったのか…」
不思議顔のケンヤであった。

「え?」

レルリラ姫にケンヤは、ザスタークさんの魔報(魔法によって届いた手紙)を見せた。

《少年少女よ。ロンドロンドが危ない。ディルガインは魔王と化した。裏にワルジャークの影あり。何事も試練。適切に行動してみろ。油断は禁物。ついでだが、おまけカード目的にチョコを買いすぎるのも禁物だぞ、虫歯になるからな。ザスタークより》

「…!!」

ウイングラード騎皇帝王国は主にウイングラード島と、ルンドラ島の二島によって成っていた。

そのルンドラ島の若き領主が、ディルガインなのであった。

今日はディルガイン公が、ウイングラードの王・騎皇帝ドルリラに謁見をする日なのだ。

ザスタークさんからこの魔報を受け取ったケンヤたちは、早速このウイングラードのロンドロンド城にやってきた。
しかし、無視であった。
門番のおばはんに言っても、騎兵隊の人に言っても、全くとりあってくれなかった。

ようやく、竜に乗った暴力聖騎士のにいちゃん(どうもレックスという騎士のようだ)が、話を聞いてくれて、暴力をふるいながらも、「蒼い風」関係者だということを信じてくれたのだが、とりつがれて執事のじいさんが回してくれたのが、この部屋。

そんで、いきなりしゃべりだす、お姫さま。

みなしゃ〜ん、お守(も)りしてね〜っ、
仲良くあそんでね〜っ、

ってことかい!!

「蒼い風」のリーダーは、かつて滅びた『ブルーネイル王国』の王家の血を引き継いでいることもあって、「蒼い風」は、どこの王宮に行っても、とりあえず門前払いを食らうことはなかった。
王にもだいたい会えた。
現在の「蒼いそよ風」となると、王はダメだけど、お姫様ならまあね、ってとこ。

…ま、こんなもんか…。

「いま、ワルジャークは生きているって、いわれましたの??」

「レルリラ姫…。
あんた、オレ達が、龍魔王打倒を目指してるって言ったな。
違うぜ。
千龍魔王ワイゾーンは、力は最強だけど、気まぐれで、怠け者の魔王だ。唯一慕う邪雷王シーザーハルトでも復活しない限り、龍魔王が動くことはないだろう」

「あたしたちは…、ワルジャークを倒すために旅してるんだ」
「では、なぜ、ディルガイン公が…」
「そろそろだな、ガンマ」
「ああ…。
…姫さん…。聖騎士なんかより、強いつもりやで。わいら…!」

「くるぜ…!」

―――――――ゴウン!!!!――――――

来た。王の間からだ…!!!
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