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下界(ドカニアルド)には、風(それ)が吹いていた。
ドオオオオオオオオ・・・
下界(ドカニアルド)は、奇跡の再生を果たしていた。
アークカイザーを復活させるためにエネルギーに変えられ、ゼスタイン城の上空で球体になっていた命たち。それらは解放され、爆発的規模の『奇跡の風』の力で、もといた場所に、もといたとおりの生命として復活していた。
ゼスタイン城の下に広がるドン・グリーランの都でも、ジャクロスらが作った広大な瓦礫の上に、つぎつぎと消された住人たちが復活を果たしていた。
(世界が戻ってく・・・)
ケンヤの霊魂は頭に輪っかを浮かせて、ゼスタインの上空からその様子を見下ろしていた。
(今日二回目の『奇跡の風』か・・・。オレ今度こそ死んだんだな・・・。
じゃあ・・・次代のブルーファルコンはどこへ行ったんだ・・・?)
するとその横で、もう一人頭に輪を載せた戦士が出現してこう答えた。
“セシルの腹ん中に入ってったぞ”
「フウラ!」
ケンヤが驚いて隣の男の名前を呼ぶと同時に、フウラの霊魂は消えた。こつぜんと。
ケンヤの霊魂は、驚きに目を見開きながら、フウラの霊魂が言った言葉を反芻(はんすう)した。
「ったく、あのヤロ・・・
・・・セシルの腹・・・って・・・」
それから、気付いた。
次代の、ブルーファルコン。
「オレの子かよ・・・」
ゆうべの・・・。
それからケンヤの霊魂は、後ろに気配を感じて振り返った。
頬に絆創膏を貼り、頭に輪を載せたジャクロスの霊魂がそこにいた。
ケンヤは、こくりと、ジャクロスにうなずいた。
そして
言葉を交わさないまま宿敵たちはふたり、
霊界(タンバルシア)へと、昇った。
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