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 ◆ ◆ ◆



 下界(ドカニアルド)には、風(それ)が吹いていた。

 ドオオオオオオオオ・・・

 下界(ドカニアルド)は、奇跡の再生を果たしていた。

 アークカイザーを復活させるためにエネルギーに変えられ、ゼスタイン城の上空で球体になっていた命たち。それらは解放され、爆発的規模の『奇跡の風』の力で、もといた場所に、もといたとおりの生命として復活していた。

 ゼスタイン城の下に広がるドン・グリーランの都でも、ジャクロスらが作った広大な瓦礫の上に、つぎつぎと消された住人たちが復活を果たしていた。

(世界が戻ってく・・・)

 ケンヤの霊魂は頭に輪っかを浮かせて、ゼスタインの上空からその様子を見下ろしていた。

(今日二回目の『奇跡の風』か・・・。オレ今度こそ死んだんだな・・・。
 じゃあ・・・次代のブルーファルコンはどこへ行ったんだ・・・?)

 するとその横で、もう一人頭に輪を載せた戦士が出現してこう答えた。

 “セシルの腹ん中に入ってったぞ”

「フウラ!」

 ケンヤが驚いて隣の男の名前を呼ぶと同時に、フウラの霊魂は消えた。こつぜんと。

 ケンヤの霊魂は、驚きに目を見開きながら、フウラの霊魂が言った言葉を反芻(はんすう)した。

「ったく、あのヤロ・・・
・・・セシルの腹・・・って・・・」

 それから、気付いた。
 次代の、ブルーファルコン。

「オレの子かよ・・・」

 ゆうべの・・・。

 それからケンヤの霊魂は、後ろに気配を感じて振り返った。
 頬に絆創膏を貼り、頭に輪を載せたジャクロスの霊魂がそこにいた。
 ケンヤは、こくりと、ジャクロスにうなずいた。

 そして
 言葉を交わさないまま宿敵たちはふたり、
 霊界(タンバルシア)へと、昇った。


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