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そのころ。
その空の下の、ゼスタイン城では。
新たなる局面が発生していた。
気がつくと、そこに、魔界神アークカイザーが立っていた。
後ろに、四人の配下を従えて。
あろうことか、地上に邪神が降り立ったのである。
これには、四帝と邪士帝たち・人類は、表情にそれぞれの衝撃を走らせざるを得なかった。
無音の静寂が、しばらくの間、いま起こっているこの事実の衝撃を形容した。
アルシャーナが言った。
「ま・・・」
マーキュルが言った。
「魔界神・・・アークカイザー様・・・」
ジョーが、ゼグマが、姿を変えて現れた魔界神(アークカイザー)を見つめた。
「・・・・・・」
アークカイザーの登場した足下には、ケンヤとジャクロスの亡骸が並べられていた。
アークカイザーは表情を曇らせて、言った。
「ケンヤも死んだか・・・。
なんということよ・・・。
二人だけで決着をつけよって・・・」
アークカイザーは残念そうに言葉を続けた。
「フウラは、『ケンヤは朕(ちん)を救う存在だ』と言ったのだ。
残念だ・・・。
朕とは縁がなかったのうケンヤ。
奇跡の風と引き替えに死すとはの・・・」
ヴィリオンが尋ねた。
「いかがしましょうか、アークカイザー様」
アークカイザーは、答えた。
「もうよい。今日は帰る。
ジャクロスのために今日は帰って、泣く。
ブルーファルコンなき陣に用はない・・・・・・
・・・・・・って・・・・・・
・・・・・・ん・・・?」
アークカイザーは、「それ」に気付き、振り返った。
「いるよ。ブルーファルコン」
凛(りん)とした声で、アークカイザーに、そう言った者がいた。
そこには、
神の決定を覆す存在が、現れていた。
シュインシュインシュインシュインシュイン・・・
セシルだった。
セシルの姿は再び波帝の鎧を取り戻していた。
そして、ブルーファルコン。
セシルの下腹部で、かつてケンヤの額にあったブルーファルコンが作動し、大きくその姿を広げていた。
「帰んないで。アークカイザー。
この子が・・・
ひきとめてる・・・」
ブルーファルコンは穏やかに、力強く、風を放っていた。
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