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 ◆ ◆ ◆



 そのころ。
 その空の下の、ゼスタイン城では。

 新たなる局面が発生していた。

 気がつくと、そこに、魔界神アークカイザーが立っていた。
 後ろに、四人の配下を従えて。

 あろうことか、地上に邪神が降り立ったのである。

 これには、四帝と邪士帝たち・人類は、表情にそれぞれの衝撃を走らせざるを得なかった。

 無音の静寂が、しばらくの間、いま起こっているこの事実の衝撃を形容した。

 アルシャーナが言った。
「ま・・・」

 マーキュルが言った。
「魔界神・・・アークカイザー様・・・」

 ジョーが、ゼグマが、姿を変えて現れた魔界神(アークカイザー)を見つめた。

「・・・・・・」
 アークカイザーの登場した足下には、ケンヤとジャクロスの亡骸が並べられていた。

 アークカイザーは表情を曇らせて、言った。

「ケンヤも死んだか・・・。
 なんということよ・・・。

 二人だけで決着をつけよって・・・」

 アークカイザーは残念そうに言葉を続けた。

「フウラは、『ケンヤは朕(ちん)を救う存在だ』と言ったのだ。
 残念だ・・・。
 朕とは縁がなかったのうケンヤ。
 奇跡の風と引き替えに死すとはの・・・」

 ヴィリオンが尋ねた。
「いかがしましょうか、アークカイザー様」

 アークカイザーは、答えた。

「もうよい。今日は帰る。
 ジャクロスのために今日は帰って、泣く。
 ブルーファルコンなき陣に用はない・・・・・・
 ・・・・・・って・・・・・・

 ・・・・・・ん・・・?」

 アークカイザーは、「それ」に気付き、振り返った。





「いるよ。ブルーファルコン」





 凛(りん)とした声で、アークカイザーに、そう言った者がいた。

 そこには、
 神の決定を覆す存在が、現れていた。

 シュインシュインシュインシュインシュイン・・・







 セシルだった。







 セシルの姿は再び波帝の鎧を取り戻していた。

 そして、ブルーファルコン。

 セシルの下腹部で、かつてケンヤの額にあったブルーファルコンが作動し、大きくその姿を広げていた。







「帰んないで。アークカイザー。
 この子が・・・
 ひきとめてる・・・」







 ブルーファルコンは穏やかに、力強く、風を放っていた。


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