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最終話

「いるよ、ブルーファルコン」

―ENDING―












 ケンヤは、死んだ。














 ◆ ◆ ◆













 あの日、



 ちからが目覚めた日、ふと気付いた。



 波の力は元来、風が起こすものだってこと。



 その日から意識しだしたら止まんなくなって・・・








 でも、



 このことに気付かなかったあたしは幼かった。




 その風はじきに波の上を吹き去ってしまうってこと。














 ◆ ◆ ◆











 空を舞っていた恋人の肉体が風に乗ってふわりふわりと降りてきた。


 セシルは、ケンヤの、その肉体を抱きとめた。


 その心臓は止まっていた。
 その肉体も破壊されていた。


 セシルはケンヤに選ばれた日、ふと、
 風は波を起こすものなんだ、と思った。


 あのときは、たまらなかった。


 でも、波を起こした風は、吹き去って、消えてしまうものなんだ。


 そんなことをセシルは今、この瞬間はじめて思った。


 たまらなかった。

 本当にたまらなかった。


 嫌な予感は無かったのに。予感なんて、あてにならないんだ・・・。


   ガンマとジョーとクラークが、駆け寄ってきた。

 三人も、元の鎧に戻っていた。


 サアアアアアア・・・


 風が吹いていた。


 愛する人が生んだ奇跡の風がドカニアルド中に吹き渡り、世界中に奇跡を起こしていた。




 風が吹いていた。

     風が吹いていた。

           風が・・・・・・




 
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【2度おいしい解説&薀蓄のコーナー】2回目に読むとき用の解説です。マウスで反転!→   ●お気づきの方もいらっしゃると思いますが、本ページ冒頭の「あの日、ちからが目覚めた日、ふと気付いた」で始まる一節は、本編2巻の巻末のエピローグです。
説明する必要はないのかもしれませんが、「ちからが目覚めた日」というのはセシルが波帝に選ばれた日。つまり2巻でヴァルと戦った日のことですね。
このシーンのための伏線を回収したのでした。